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メッセージ 映画感想・ネタバレ SFというよりヒューマンドラマだった

メッセージ (吹替版)

メッセージ(原題:ARRIVAL)観てきました。2017年上半期で一番良かったと言ってもいい作品でした。ちょっと期待はずれだけど。

色々な”メッセージ”が込められている映画なので、共感する人が多いだろうと思います。
”扱う言語で文明は生まれる”など話す言葉によって考え方が違ったりするという話(サピア=ヴォルフの仮説)、そして共通言語、母親と娘との親子愛が描かれています。
SF映画やどんでん返しを期待している方は肩透かしになるかもしれません。詳しく説明がないので、ちょっと解説のいる映画です。
詳しくはネタバレで。

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作品紹介・あらすじ

突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。
謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。

出典:http://www.message-movie.jp/about

 

キャスト

監督は「ブレードランナー 2049」が来年公開予定のドゥニ・ヴィルヌーヴ。

  • ルイーズ・バンクス / エイミー・アダムス
    言語学者。
  • イアン・ドネリー / ジェレミー・レナー
    物理数学者
  • ウェバー大佐 / フォレスト・ウィテカー
    アメリカ軍大佐。
  • ハルペーン捜査官 / マイケル・スタールバーグ
    CIA捜査官。
  • シャン将軍 / ツィ・マー
    中国人民解放軍の将軍。

 

原作

優れたSF作品に贈られるネビュラ賞を受賞したアメリカ人作家テッド・チャンによる小説「あなたの人生の物語」が原作。

 

ネタバレ

娘の一生

ルイーズは娘を出産し、シングルマザーとして育てていました。反抗期も経験し、育っていきますが、ある日娘に病気が発症してしまいます。そして病院の一室で娘を看取るルイーズでした。

 

宇宙船(殻・シェル)の出現

大学の講義に出席する言語学者ルイーズ。
ほとんどの学生はテレビに釘付けで出席している学生はわずか。出席している生徒の携帯が鳴り出します。ニュースをつけると謎の飛行物体がモンタナに出現しているという報道が流れます。北海道でも同様の飛行物体が目撃されるとのこと。
全員大学から帰宅し、テレビは世界の12箇所に出現しているというニュースが流れていました。

翌日、大学の自分の一室に米軍のウェバー大佐が訪ねてきて、ボイスレコーダーを聞かせられます。異星人の言語を解読するようルイーズに要請します。
そしてその夜に半ば強制的に、モンタナの基地に向かうルイーズ。向かう途中のヘリコプターの中で、物理学者のイアンがいました。

「言葉とは文明の基礎である。人々をまとめ、争いを終わらせることができる強力な武器だ。」イアンはルイーズの本を読み上げます。

 

宇宙船(シェル)の中へ

宇宙船の中は重力が違うから、宇宙人と接触するのは18時間ごとに2時間しか接触できない。2時間経つと排出されてしまう、と聞かされたルイーズとイアン。

宇宙船の扉が開く15分前のサイレンを合図に放射能対策の防護スーツを着て、高所作業車で宇宙船の下まで移動する。
四角に空いた穴から高所作業車が上に上がっていきます。電波が乱れ出したら上昇は止まり、サイリウムを上に投げと、重力が異なるため、壁に落ちました。
軍人4名とルイーズとイアンは上に飛び、壁を歩くと少しひらけた空間に出ました。
撮影・記録用の機材を準備する軍人たち。

ガラスのような壁を挟み、白い霧の中に宇宙人の姿はありました。
ルイーズは異なる重力と、軍の威圧的な態度、極度の緊張感とプレッシャーで、ルイーズは上手く交信が出来ませんでした。

 

ヴィジョンと解析

宇宙人は7つの脚のようなものを持っていることから「ヘプタポッド(7つの足の意味)」と名付けられました。
ヘプタポッドとコンタクトを取った頃からルイーズの脳に、予知夢のように、娘とのヴィジョンを見ます。

ルイーズはその映像に導かれるように、防護服を脱ぎ捨て、「HUMAN」という文字をホワイトボードに書きヘプタポッドに見せるルイーズ。
ヘプタポッドは初めて反応を示し、触手から墨のようなもので複雑な円を描きました。

交信しているヘプタポッドは2体おり、アボットとコステロと名付けられました。

ルイーズは彼らの地球にやって来た目的を理解するためには、彼らの言語を理解しなければならないとして、彼らの言語の研究を始めます。
彼らの使う文字にはいわゆる象徴文字で、時間の概念を持たないものでした。しかも話す言葉と文字は関連性がないことがわかりました。

ヘプタポッドの言語を研究するうちに、ルイーズの頭には自分が夫や娘と過ごしているヴィジョンがよぎるようになります。そしてそのヴィジョンには夫との破局、娘の死という破滅的なエンディングを知ります。

 

武器を提供

イアンの協力もありながら、ルイーズはヘプタポッドの言語を解読していき、簡単な会話ができるようになります。
そして「武器を提供」という言葉にたどり着きます。

他の12箇所の各国と共同研究をしており、「武器」という言葉を聞いた世界各国は激しく動揺します。
「道具」や「技術」の意味かもしれないと説得するルイーズに、イアン以外は耳を傾けません。

中国は、宇宙船が撤退しなければ攻撃を始めると宣言し、それに追随する国が出てきて、12ヶ国の連携は途絶えます。
ヘプタポッドたちが人類を侵略しようとしているとして中国が攻撃の準備を進めます。

 

地球に来た目的は何?

世界各地ではヘプタポッドの「武器」という言葉に動揺し、混乱していました。
そんなテレビの報道に賛同した何人かの軍人が宇宙船(シェル)の中にC4の時限爆弾を設置します。

爆弾が仕掛けられていることを知らずにルイーズとイアンは宇宙船(シェル)の中に入って、「武器の提供」の意味を確かめに行きます。
ルイーズが「武器の提供とは?」と質問すると、壁をノックしながら、ヘプタポッドがとてつもない数のヘプタポッド文字をばら撒いて姿を消します。
爆弾のカウントダウンが0になり、爆発しますが、重力が変わり爆発に巻き込まれないよう排出される2人。
爆発に巻き込まれそうになった2人をヘプタポッドが救いました。

ルイーズ、イアンは意識を失っており、助けられます。
そしてイアンは大量に巻かれたヘプタポッド文字から「時間」という文字が大量に入っていると見つけます。さらに時間という文字との空間が全て「0.083」という数字を導き出し、12分の1。つまり12カ国が一つにまとまるということが意味していると解釈しました。

そのことをウェバー大佐やハルペーン捜査官に報告しますが、時間がないと一蹴されます。
中国がいよいよ攻撃を始めるというのです。 他の国もそれに同調します。そして基地からも避難命令が出ました。

 

再び宇宙船(シェル)の中へ

刻々と迫る中国の攻撃開始。ルイーズは再び、宇宙船(シェル)の中に入っていきます。
中に導かれると、ガラスのような壁の向こう側にいました。白い霧に囲まれ、境なくヘプタポッドと対面するルイーズ。

対面しているのはコステロの方で、アボットは死期が迫っているとのことでした。

娘のヴィジョンを見るルイーズ。
これは何かと訪ねると、「ルイーズは未来が見える」「3000年後に人類の助けが必要になる」「武器(ヘプタポッド語)を使え」とのメッセージを送られました。
ヘプタポッドは3000年後のために武器(ヘプタポッド語)を教えにきたのでした。
そして自分の見ていたビジョンは未来に起きることを悟ります。
未来でルイーズは「共通言語:Universal Language(ヘプタポッド語)」の本を出版していました。本の巻末には「ハンナに捧ぐ」と記載されていました。
会話を終えると地上に降りてきていました。

 

攻撃中止

地上に戻ってきたルイーズは「武器」は「言語」だったことを伝えますが、撤退命令が出ているので、ウェバー大佐は聞く耳を持ってくれません。

そして1年半後に行われる祝賀会でのヴィジョンを見ます。そこでは中国のシャン将軍と会話していました。
「あなたのおかげで私は考えを変えた。今日来たのはあなたに会うため。あなたは世界を1つにした。あの時、あなたは私に個人携帯に電話した。
番号を知らないというルイーズでしたが、シャン将軍は自分の携帯番号を見せます。
そしてヴィジョンが終わり、ルイーズはCIAのハルペーン捜査官の衛星電話を勝手に使い、シャン将軍に電話します。
勝手に中国に電話していることに気づいた軍はルイーズを捕らえようと動き出します。

逃げるルイーズ。再びシャン将軍とのヴィジョンを見ます。
そしてあなたは妻の遺言を思い出させてくれた。」と話し、シャン将軍はルイーズの耳元で妻の遺言の言葉を話します。
そしてヴィジョンは終わります。

ルイーズがシャン将軍の携帯にかけていた電話呼び出し音が鳴り、妻の遺言を中国語で話しかけます。
中国は突然攻撃を中止されたのでした。中国は情報を各国に提供すると宣言します。
それに追随する各国。すると地球からすべての宇宙船(シェル)が霧となって消えていきます。

ルイーズは未来のビジョンから娘ハンナの父親はイアンだと知ります。
「もし未来を知っていたとしたらどうする?」とルイーズはイアンに尋ねます。
「もっと相手に気持ちを伝える。今回のことで一番の出会いは彼らのことじゃなく、君だった」

 

エンドロール後

ヨハン・ヨハンソンのカンガルーが流れて、エンドロールでした。そのあとは何もありませんでいた。

 

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サピア=ヴォルフの仮説

サピア=ウォーフの仮説(サピア=ウォーフのかせつ、Sapir-Whorf hypothesis、SWH)は、「どのような言語によってでも現実世界は正しく把握できるものだ」とする立場に疑問を呈し、言語はその話者の世界観の形成に差異的に関与することを提唱する仮説。 言語相対性仮説とも呼ばれる。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/サピア=ウォーフの仮説

「思考が扱う言語に関与される」という考え方は非常に重要です。これがいわゆる「サピア=ヴォルフの仮説」というものなのですが、彼は「どのような言語を媒体としても現実世界を正しく知覚することができる」という考え方に反論する形でこの説を提唱しました。つまり、言語はその話者の世界観や思考に大きな影響を及ぼすということですね。

 

宇宙人(ヘプタポッド)とは?

未来や過去が平行に存在する多次元空間の存在のようです。時間の概念を持っていいません。7つの脚のようなものを持ち、タコとイカが合わさったような体なので「ヘプタポッド(7つの足の意味)」と名付けられました。
ルイーズとコミュニケーションをとっていたのは「アボット」と「コステロ」。20世紀の米国喜劇俳優コンビの名をとって付けられています。

 

ルイーズに未来が見えたのは?

多次元空間の存在の宇宙人(ヘプタポッド)との接触で次第にルイーズにも同様の能力で未来が見えるようになって言ったという解釈でいいと思います。

未来に起こる出来事、イアンと結ばれ、宇宙人出現の1年半後の祝賀会でシャン将軍の個人携帯の番号を聞き、シャン将軍の妻の遺言を聞き、ハンナが生まれ、ヘプタポッド語(共通言語:Universal Language)の本を出版、ハンナが病気で亡くなる未来をイアンに告げることが原因で離婚、病気のハンナを看取る。これらをみたのはルイーズはヘプタポッド語を理解し、ハンナが亡くなることを理解してても、ハンナを産むことを決断したのでした。

 

宇宙人(ヘプタポッド)の目的は?”武器”の意味とは?

ルイーズがヘプタポッドとの会話?で言及されていました。
”3000年後に人類の助けがいる”そのために”武器(言語)を使え”というものでした。

武器とは言葉・言語のこと

つまり、3000年後の時のために人類がヘプタポッド語(共通言語:Universal Language)を使えるようにすることが目的ってことでいいのかな。
ヘプタポッドにとったら3000年後も明日でもある。

 

Hannahに込められた意味

hannah(ハンナ)は前から読んでも後ろから読んでもhannah(ハンナ)です。いわゆる回文になっています。
これは未来と過去を意味しているヘプタポッド語(共通言語:Universal Language)との意味を持っているということですね。

 

宇宙船の形状は”ばかうけ”?

どっちかっていうと、馬鹿でかい黒いコンタクトレンズか、馬鹿でかい柿の種みたいな形してます。けど監督自身が「ばかうけ」に影響を受けたと断言?しています。

 

タイトル「メッセージ」に込められた意味

原題はarrival(到着)だけど、邦題のタイトルは「メッセージ」。実際に宇宙人が到着する話なんだけど、目的は人類にヘプタポッド語(共通言語:Universal Language)を扱えるようになることだから、どっちかっていうと邦題の「メッセージ」の方が映画の話に沿っていると思います。

ちなみにメッセージの公式HPやポスターなどに印刷されている正式なタイトル「メッセージ」の「セ」だけ明朝体なんです。他はゴシック体なのに。これはミスじゃなくて、あえてやっているようです。意図は違和感を与えたいとのことです。うまいな。

 

シェン上将の妻の最後の言葉

中国軍のシェン上将がルイーズに伝えた、妻が死ぬ間際のダイイング・メッセージ(中国語)は「In war there are no winners, only widows.」(戦争には勝者はいない。ただ未亡人だけが残される)

らしいです。

 

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感想

あまりに評価の高い映画なので、期待しすぎたせいもあって、ちょっと期待外れな感じもありましたが、とても良かったです。

この映画にはソラリスやインターステラーなどのオマージュというか、時間軸が同時に存在する多次元の話などが入ってきているので、そういう要素もありつつ、親子愛を描いた作品でした。未来を知っても同じ人生を歩むことを選んだルイーズ。というか、同じ未来を選んだからその未来が見えていたのかな。
そもそも原作は「あなたの人生の物語原題:Story of Your Life」と言っているので、原作の意図に沿った映画になっていると思います。原作読んでないけど(笑)

宇宙人(ヘプタポッド)とのファーストコンタクトの描写は意思疎通のできるようになるまでの試行錯誤が描かれており、そういうのも面白かったですね。
あと中国が先制攻撃しようと、暴走しそうになりますが、そう言ったところはよく今のご時世を反映しています。

ルイーズとシャン将軍の電話での会話が気になる。妻の遺言はツイッター情報ですが分かった範囲では上記に記載しました。

 

まとめ

冒頭にもかきましたが、SF映画やどんでん返しを期待して観に行くと、肩透かしにあっちゃいます。最後に伏線の回収、(予想できるけど)どんでん返しがありますが、重厚なヒューマンドラマと思って観に言った方がいいです。
説明が足らないぶん、解釈や捉え方をそれぞれが想像できて、二度目見ると、別の発見ができるんじゃないかな、という映画でした!

SF映画で時間軸が絡む映画と言ったらインターステラーの方がはるかにいい作品でした。

イアン・ドネリー役のジェレミー・レナー、最後のメッセージの「12分の1」って気づいただけだったのが、唯一の活躍どころ。ちょっと残念。

 

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